【レビュー】『Story Seller Annex』
2015.02.23 18:24 | コメント(0) | 読書感想文
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このシリーズ大好き
どうも、さつきさんAnnexです。
Story Sellerシリーズの第4弾。
人気作家さんが勢ぞろいですね。
現在有川浩さんの三匹のおっさんふたたびを読んでいますが、
先にこっちを読み終えてしまいましたw
- Story Sellerシリーズ
- 著名作家さんが描く短編集。
オムニバス形式で展開される。
作家さん毎に表現が違ったり、テーマが違ったり。数十ページごとに新しい世界が開けるとても楽しい1冊。
お話リスト
今回はあらすじなどが書けないので、
収録されているお話のタイトルと作家さんのお名前(敬称略)を載せておきますね。- 『暗がりの子供』 - 道尾秀介
- 小さな子どもに妹ができるお話。
代表作は『向日葵の咲かない夏』や『カラスの親指』など。 - 『トゥラーダ』 - 近藤史恵
- 自転車レースのお話。
代表作は『凍える島』や『サクリファイス』など。 - 『R-18-二次元規制についてとある出版関係者たちとの雑談』 - 有川浩
- 表題通り、二次元規制に対する意見交換のお話。
代表作は『図書館戦争』や『阪急電車』など。 - 『万灯』 - 米澤穂信
- 海外インフラ事業のお話。
代表作は『氷菓』などの古典部シリーズ - 『ジョン・ファウルズを探して』 - 恩田陸
- 自身が行ったインタビューを元にした随筆。
代表作は『夜のピクニック』や『悪夢ちゃん』など。 - 『約束』 - 湊かなえ
- 遠い異国の地で活動する主人公と、主人公を取り巻く環境のお話。
代表作は『告白』や『Nのために』など。
感想(ネタバレあり)
ここからは、本編の内容に触れます。
未読の方はお読みにならないことを強くお勧めします。
→ネタバレを了承し、続きを読む『暗がりの子供』 - 道尾秀介
開幕で強烈なアッパーをもらったような印象。
道尾さんはこの作品で初めて読みましたが、
ただただ奇才
という印象を受けました。
子どもの視点から描いた価値観にハッとさせられる場面もありました。
ストーリーは主人公の周りのお話と、絵本の中のお話が並行して進みます。
正直、中ほどまで読んだ感想としては、
感情移入もしにくいし、なかなか硬い文章だなあとしか思わなかったのですが、
終盤での話の展開はすさまじかったです。
ラスト数ページのためだけに読み進めたと言っても過言ではないでしょう。
思わず他の作品にも興味が出てしまいました。
こういう出会いが起こるからStory Sellerは好き♪
『トゥラーダ』 - 近藤史恵
自転車レースのお話。
ロードレースであってるのかな?
日本ではマイナーなスポーツですが、ヨーロッパの一部では熱狂的なファンがいるそうです。
私も漫画『Over Drive』を読んでなかったら取っつきにくかったテーマかもしれません。
淡々と異国での生活を楽しんでいるつもりの主人公ですが、
残虐な闘牛を見て体調を崩すシーンなどは人間味があっていいなと思いました。
何か核心を伝えたいというイメージよりは、設定された舞台の情景が鮮やかに浮かび上がるような
テーマとは反比例したさわやかな作品でした。
『R-18-二次元規制についてとある出版関係者たちとの雑談 』- 有川浩
またシビアなテーマを・・・w
決してくだらないテーマではないですが、どうしても会話がコミカルに進むので、
くだらないことを真剣に議論している風景に見えてしまいます。
しかし、作家先生の意見には妙に説得力があり、思わず納得してしまうシーンが多々ありました。
こういうのを詭弁とでもいうのでしょうか。
ちなみに、私は二次元規制については反対です。
作中の先生の意見ほど過激ではないですが、なんでもかんでも規制、規制で抑圧するのはよくないかと。
『万灯』 - 米澤穂信
発展途上国における天然資源開発のお話。
わざわざ手間をかけてまで、完全犯罪を完遂しようとしたのに、ウイルスのせいですべてが台無しに。
最終的にどうなったかとか、結局主人公はコレラだったのかとかを
敢えて書かないのが米澤さんらしいかな、と。
最後に自分の理想について思いを馳せるシーンが好きです。
タイトルはそういう意味かあと納得。
やはり後ろ暗い行いは必ず露見するようにできているんでしょうか。
因果応報ってやつですかね。
『ジョン・ファウルズを探して』 - 恩田陸
んー・・・あんまりおもしろくなかった。
私が恩田さんと同じようにジョン・ファウルズが好きだったら、
考察についても興味が持てたかもしれません。
作中でジョン・ファウルズの引用が2回用いられてますが、
なんというか、あまり響かなかったんですよねえ。
ジョン・ファウルズが好きってことは伝わったw
『約束』 - 湊かなえ
湊かなえさん苦手なんですよねえ・・・。
正直、もう感想省いて読み終えたことにしようかと思ったんですが、頑張って読みました。
米澤さんの『万灯』の時にも思ったんですが、
なぜ数ある選択肢の中からこのテーマをチョイスしたのかが気になりますね。
その辺の思考回路を伺ってみたい。
あとがき
Story Sellerの魅力は2つだと思います。- まだ見ぬ作家さんとの出会い
- 好きな作家さんの単行本化されていないお話との出会い
1.の方は道尾秀介さんと出会えたのは大きな収穫かもしれません。
ただ、私が絶賛して妹に話したところ、妹は『向日葵が咲かない夏』を読んで苦手意識を持ったとのこと。
私が森見さんや湊さんが苦手なのと同じように、人によって作家さん、作品の好みは分かれますよね。
あとは恩田さんのように、作品ごとに好き嫌いが分かれる作者さんもいますね。
『夜のピクニック』は好きなんだけどなあ。
今回のStory Sellerは私としてはそこまでおすすめはできないかなあ。
ただ、最初の1話だけは読んでほしい!
今回はこんな感じです。
お粗末さまでした。
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